アーティスト・美術関係者

日本のアーティストや美術関係者(批評家、コレクター、研究者、学芸員、画廊経営者等)について調べるための書誌(文献目録や関連文献リスト)、全集・概説書、人名事典、辞典、作家言説等をご紹介します。冊子体の書籍とオンライン・データベース等を対象としています。

1. アーティスト、美術関係者に関する書誌

中島理壽編『美術家書誌の書誌: 雪舟から束芋、ヴァン・エイクからイ・ブルまで』東京: 勉誠出版, 2007年.

国内外のアーティストおよび美術関係者に関する個人書誌(特定の個人に関する文献目録や関連文献リスト)の書誌。収録範囲は日本語で書かれた作品集、美術全集、逐次刊行物、展覧会カタログ等に掲載されたもの。収録人物数は約2,600件。排列は人名五十音順。巻末に欧文名原綴索引あり。

恵光院白編『美術家索引』日本・東洋篇, 東京: 日外アソシエーツ, 紀伊國屋書店 (発売), 1991–1992年.

日本・東洋の近現代アーティストについて、事典等の掲載情報をまとめた索引(インデックス)。採録対象は1990年以前に出版された事典、作品目録、年鑑、展覧会カタログ等。収録人物数は20,500件。排列は人名五十音順。

Freitag, Wolfgang M. (ed.). Art Books: A Basic Bibliography of Monographs on Artists. 2nd ed. New York: Garland Pub, 1997.

アーティストに関する個別研究文献の書誌。日本人の情報も数件含む。個々のアーティストに関する博士論文、伝記、カタログ・レゾネ(本文中「CR」と表示)、個人書誌、作家言説等を採録。定期刊行物、論文集に掲載されている文献は対象外。排列は人名アルファベット順。

International Foundation for Art Research, Catalogues Raisonnés新規タブで開く

アーティストのカタログ・レゾネに特化した書誌データベース。国際美術研究財団(International Foundation for Art Research)による。収録範囲は絵画、紙媒体の作品、彫刻作品、写真に関する既刊および出版準備中のカタログ・レゾネ。日本人を含む。個々のアーティストに関し、どのようなカタログ・レゾネが出版されているかを調べることができる。

Print Council of America, Index to Catalogues Raisonnés of Works on Paper.新規タブで開く

版画家・写真家のカタログ・レゾネに特化した書誌データベース。アメリカ版画協議会(Print Council of America)による。日本人を含む。個々のアーティストに関し、どのようなカタログ・レゾネが出版されているかを調べることができる。

長谷川公之『現代版画世界の100人: カタログ・レゾネ全ガイド』東京: 栄光, 1996年.

世界の版画家100人の略歴とカタログ・レゾネのガイド。日本人作家の情報も含む。巻末に五十音順、アルファベット順の作家索引あり。

2. 人名事典・人名索引

アーティスト事典

Artists of the World Online(AOW)(機関登録制)新規タブで開く

定評ある『世界芸術家事典 Allgemeines Künstlerlexikon (AKL)』の後継の芸術家事典オンライン版。ドイツで1907年以降出版されてきた芸術家事典(Ulrich Thieme und Felix Becker. Allgemeines Lexikon der bildenden Künstler von der Antike bis zur Gegenwart. Leipzig: Seemann, 1907-1950, 37 vols.およびHans Vollmer. Allgemeines Lexikon der bildenden Künstler des XX. Jahrhunderts. Leipzig: Seemann, 1953-1962, 6 vols.)の内容を受け継ぐ。収録事項は基本情報のほか、作家略歴、主要所蔵先、主要展覧会、書誌等。収録作家数は日本人を含む約125万件。ドイツ語・英語。
   
※本オンライン事典は国立美術館各館の図書室、閲覧スペース等でも利用可能です。図書室の利用方法は、 「リサーチ拠点案内新規タブで開く」をご参照ください。

Benezit Dictionary of Artists(機関登録制)新規タブで開く

定評ある『ベネジット芸術家事典 Benezit Dictionary of Artists』のオンライン版。フランスで1911年の初版以降、重版されてきた芸術家事典。収録事項は作家略歴、主要所蔵先、主要展覧会、オークション記録、書誌等。収録作家数は日本人を含む約14万件。英語。
   
※本オンライン事典は国立美術館各館の図書室、閲覧スペース等でも利用可能です。図書室の利用方法は、 「リサーチ拠点案内新規タブで開く」をご参照ください。

Getty Research Institute, Union List of Artist Names Online(ULAN)新規タブで開く

アーティスト、美術団体等を対象とした人名典拠ファイル。ゲッティ研究所(ロサンゼルス)による。別名、異表記、原語表記等を含むアーティスト、美術団体の名称、その他の伝記情報等を収録。収録件数は日本人、団体の情報も含む約52万件。

日本のアーティスト:総合

国立アートリサーチセンター「日本アーティスト事典」

日本の近現代アーティストに関する事典(オンライン版)。収録対象は、明治以降の日本の文化芸術の発展に寄与したアーティスト、団体。収録年代の上限は明治時代以降に活動したアーティスト、下限は1995年以前生まれ、設立のアーティスト、団体。収録情報は、名称(別名含む)、生没年、生没地、典拠情報等の基本情報。一部については作家解説、主要展覧会、主要所蔵先、書誌等のレファレンス情報が加わる。日英二か国語。収録件数は約5,200件。

三輪英夫, 佐藤道信, 山梨絵美子執筆『近代日本美術事典』東京: 講談社, 1989年.

日本近代のアーティストに関する事典。絵画(日本画、洋画、版画、挿絵、他)と彫刻分野を対象とし、収録年代の上限は明治初期に活動していた作家、下限は1930年生まれの作家。排列は人名五十音順。収録作家数は1,252名。巻末の「関係事項」に美術団体・学校等の用語解説、「近代日本美術の流れ」に洋画、日本画、彫刻分野の美術団体の変遷図を収録。

酒井忠康, 山梨俊夫, 原田光, 水沢勉, 太田泰人, 橋秀文, 堀元彰, 長門佐季, 秋山るり『近代日本美術家列伝』神奈川県立近代美術館編. 東京: 美術出版社, 1999年.

日本近代のアーティスト、美術関係者(評論家、美術史家等)に関する人物略伝集。神奈川県立近代美術館学芸員による雑誌連載記事(『美術手帖』1995年4月~1998年10月)を1冊にまとめた読み物で、人物事典としても活用可能。収録人物数は164件。巻末に人名索引のほか、「近代日本美術史簡易年表」、「参考文献一覧(掲載人名順)」を収録。

尾崎信一郎, 塩谷純, 高島直之, 林洋子, 古田亮, 松本透, 山梨絵美子編『日本近現代美術史事典』多木浩二, 藤枝晃雄監修. 東京: 東京書籍, 2007年.

日本近代美術を対象とした総合事典。江戸後期から21世紀までを収録範囲とする。歴史編、事項・テーマ編、用語編、資料編で構成。約800項目からなる用語編にはアーティスト、美術関係者の解説が含まれる。資料編の「美術運動の流れ」は、美術団体・美術関係教育機関等の系譜図。巻末の五十音索引で、人名や団体名等の事項の検索が可能。

Roberts, Laurance P. A Dictionary of Japanese Artists: Painting, Sculpture, Ceramics, Prints, Lacquer. Tokyo; New York: Weatherhill, 1976.

日本のアーティストに関する事典。収録対象は古代から1900年以前に生まれた日本の絵画、彫刻、陶芸、版画、漆芸分野の作家。収録事項は、略歴、主要所蔵先、書誌(参考文献)、名前の漢字表記。排列はアルファベット順。付録として美術関連団体・組織情報、用語集、書誌(文献一覧)、別名索引、漢字索引あり。収録件数は約300件。

Tazawa, Yutaka (ed.). Biographical Dictionary of Japanese Art. Tokyo, New York: Kodansha International in collaboration with the International Society for Educational Information, 1981.

日本のアーティストに関する事典。絵画、版画、書道、写真、グラフィック・デザイン、彫刻、茶道、建築、庭園、陶芸、刀剣、金工、染織の分野別に、各分野の概説と代表的な作家の略歴を収録。排列は分野別、アルファベット順。付録として、流派や団体の系譜図、用語集、書誌(文献一覧)、索引あり。収録作家数は862件。

日本のアーティスト:主題・分野別

東京文化財研究所「物故者記事」新規タブで開く

東京文化財研究所編『日本美術年鑑』所載の物故者記事を集成したデータベース。収録対象は、1935年以降に死去したアーティスト、美術関係者等。記事件数は約3千件。

岩瀬行雄, 油井一人編『20世紀物故洋画家事典』東京: 美術年鑑社, 1997年.

1900 年以降に没した洋画家、版画家の事典。収録事項は、生没年、略歴、主要展覧会、画集、主要文献等。排列は人名五十音順。

油井一人編『20世紀物故日本画家事典』東京: 美術年鑑社, 1998年.

1900 年以降に没した日本画家(南画家、水墨画家含む)の事典。収録事項は、生没年、略歴、主要展覧会、画集、主要文献等。排列は姓名五十音順。巻末に名による索引あり。

室伏哲郎『事典プリンツ21: 版画 写真 CG 印刷 染色』[東京]: プリンツ21, 1997年.

版画、写真、CG、印刷、染色、デザインなど、「print」という概念に含まれる情報を収録した事典。「作家篇」に版画を表現手段とするアーティストの情報を収録。収録事項は、主な技法・版種等、作品点数、代表作、取り扱いギャラリー、出品歴・受賞歴等の履歴、所蔵機関、作品集等の文献情報等。排列は人名五十音順。収録作家数は約300件。

南邦男, 柳橋眞, 大滝幹夫監修『人間国宝事典: 重要無形文化財認定者総覧』増補最新版, 東京: 芸艸堂, 2012年.

文化財保護法による重要無形文化財(人間国宝)に関する事典。収録対象を工芸技術部門に限定し、指定の工芸技術、認定の保持者・保持団体に関する概要を解説する。収録範囲は2012年までに認定された保持者・保持団体約180件。収録事項は指定技術の歴史と流れ、保持者の経歴、作風、代表作等。巻頭に分野・指定技術別の目次(排列は各技術別に指定年代順)、巻末に「重要無形文化財指定・認定年度別一覧」あり。

日外アソシエーツ編『デザイナー人名事典』東京: 紀伊国屋書店, 1996年.

さまざまな分野のデザイナーに関する人名事典。収録事項は人物略歴、刊行当時の連絡先等。排列は専門分野別(手工芸、服飾、商業、工業・製品、生活空間、美術空間・公共空間、その他)、人名五十音順。巻末に五十音順の人名索引あり。収録作家数は約3,600件。

伊東順二, 柏木博編『現代デザイン事典』東京: 平凡社, 2016年.

デザインに関する事典。巻末の「Who’s Who in Modern Design」が人名事典として活用できる。収録対象は20世紀以降に活躍した主にグラフィック・デザイン、インダストリアル・デザイン、建築、写真等の分野のアーティスト。収録事項は人物略歴、主著、代表作等。排列は海外、国内別に五十音順。

東京都写真美術館執筆監修『日本写真家事典: 東京都写真美術館所蔵作家 東京都写真美術館叢書』京都: 淡交社, 2000年.

写真家事典。収録対象は東京都写真美術館所蔵の日本の写真家328人。収録事項は、略歴、書誌(参考文献)、主要作品1点の図版。排列は人名五十音順。巻末に写真家グループや会派、写真雑誌等の情報を掲載した「事項解説」のほか、「日本写真史略年表」、「主要写真史文献」を収録。

日外アソシエーツ株式会社編『日本の写真家: 近代写真史を彩った人と伝記・作品集目録』東京都写真美術館監修. 京都: 淡交社, 2005年.

写真家および写真関係者の事典。収録対象は、幕末の写真伝来以降から現代までの日本の写真家、写真評論家、写真編集者、写真科学研究者、写真産業関係者。収録事項は、略歴、写真集、写真関係の著作、展覧会カタログ、伝記・評伝・自伝。排列は人名五十音順。巻末に人名索引あり。収録人物数は839件。

「アジアの女性アーティスト(データベース)」新規タブで開く

アジア出身で、アジアや他地域で活動するジェンダー・コンシャスな女性アーティストに関するオンライン資源。収録事項は、作品画像、略歴、展覧会情報、ステートメント、作家ウェブサイト情報等。排列は国別、アルファベット順。日英二か国語。収録数はアーティスト約120件、コレクティヴ6件。小勝禮子氏を研究代表者とする科研費研究(研究課題/領域番号 20K12475)の成果の一部として構築、公開されたもの。

東京文化財研究所「書画家人名データベース(明治大正期書画家番付による)」新規タブで開く

画像データベース「明治大正期書画家番付データベース」の人名索引。データベースの対象は美術史家・青木茂氏の蒐集になる幕末・明治大正期刊行の書画家番付コレクション。書画家番付は相撲番付のように書画家を序列化、一覧にした印刷物。本データベース収録事項は、作家ごとに、当該作家を掲載する番付の名称(デジタル画像へのリンク付き)、刊行年、当該作家の番付上の分類、掲載箇所。収録件数は約18,000件。

3. 落款・印章

日本書画落款大事典刊行会編『日本書画落款大事典』上下巻, 東京: 遊子館, 2007年.

日本の書画家の落款事典。中世から昭和初期までを収録範囲とする。落款の画像を原寸大で掲載。排列は人名五十音順。巻頭に分野別人名目次、巻末に号・筆名索引あり。収録作家数1,450件、収録落款数14,400件。

[美術評論社編]『日本画家書道家落款・印譜集』東京: 美術評論社, 2011年.

近現代の日本画家、書道家の落款・印譜事典。収録事項は、作家略歴、作家から提供された落款・印譜の画像。排列は分野別、五十音順。

4. 作家言説

「日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」新規タブで開く

日本美術の関係者へのインタビュー集。非営利団体の日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴによる。2006年以降、アーティスト、批評家、学芸員、画廊主、編集者、行政担当者等に聴き取り調査を行い、書き起こした文章をウェブサイトで公開。排列は五十音順。

その他、個々の作家言説に関する文献情報については「日本アーティスト事典」の「書誌」の項目をご参照ください。

5. 通史・概説書

青柳正規ほか編著『日本美術館』東京: 小学館, 1997年.

日本美術史の概説書。旧石器時代から現代までを収録する。巻末「資料室」に人物事典、用語事典、五十音索引(作品名、作者名)あり。

東京美術倶楽部編『日本の20世紀芸術』東京: 平凡社, 2014年.
Tokyo Art Club (ed.). The 20th Century Art in Japan. Tokyo: Tokyo Art Club, 2019.

日本の20世紀芸術に関する概説書。日本語版は美術(絵画、彫刻等)、版画、イラストレーション、写真、工芸、デザイン、ミュージアム建築、実験映像・アニメーション・マンガ、いけばな、パフォーミングアーツにわたる広範な分野を、英語版は美術(絵画、彫刻等)、版画、工芸分野を対象とする。分野ごとにアーティストを多数取り上げ、個々に解説、代表作1点(写真図版付き)、主要文献情報を付す。巻末に五十音順の人物索引あり。

草薙奈津子監修『女性画家の全貌。: 疾走する美のアスリートたち』東京: 美術年鑑社, 2003年.

日本近現代の女性画家に関する書籍。論文、コラム、エッセイ、インタビューに加え、「画と文」には作家別に代表作、エッセイもしくは作家解説、略歴が収録されており、人物事典としても活用できる。収録作家数229件。

植田彩芳子, 中野慎之, 藤本真名美, 森光彦『近代京都日本画史』東京: 求龍堂, 2020年.

近代京都の日本画の通史。幕末明治期から昭和戦後まもなくまでを時代順に概観。代表的な日本画家約60名を取り上げ、顔写真、略歴、代表作数点(写真図版、解説、参考文献付き)を収録。巻末に「近代京都日本画家関係図」、初学者向けの案内「近代京都の日本画を深く知りたい方へ」、「近代京都マップ」、基礎史料を収録。