Bunka-cho Art Platform Japan Translation Workshop:Translating Art Writing

2022年11月15日

ウェビナー

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翻訳ワークショップ



日程: 2022年11月15日(火)10:00‒11:30
参加方法: ZOOMウェビナー
講師: アンドリュー・マークル
言語: 英語(同時通訳なし)


アート・ライティングは、ジャーナリズム、文学、歴史、哲学の要素を併せ持ち、アーティスト・ステートメント、マニフェスト、インタビュー、展覧会レビュー、批評、カタログの論考、学術論文、そしてアート作品そのものまで、広い範囲にわたり拡大し続ける表現分野です。他のジャンルのライティングと同様、ジャーゴンやクリシェはありますが、真面目に対峙すれば読み応えがあります。アート・ライティングには、アートそのものと同様、人々が世界を見る目を変える力があるのです。

さらに、多くのアーティストやアートライターが挑んできた言語への革新的なアプローチ、アート・ライティングでしばしば言及される美術以外の文化や世界の出来事、過去1世紀にわたり現代アートの言説を形成してきた多言語の国際性、またアート作品を言葉によって表現する、という錬金術のようなプロセス自体。アート・ライティングは、これらの要因により翻訳の分野で最先端に位置するでしょう。

本ワークショップでは、文化庁アートプラットフォーム事業翻訳プロジェクトの創設メンバーでありエディトリアル・ディレクターを務めていたアンドリュー・マークルが、国際的な現代アートのライティングの特徴を紹介し、日本語で書かれたアート・ライティングを英語に翻訳する際に重要となるテクニックを紹介します。

特に、アート・ライティングは、アーティストの制作プロセスと鑑賞者が作品と触れ合うプロセスという相互に関連した2つのプロセスから成ります。日英翻訳という点から言うと、これらのプロセスの重要性を認めた上に、原文における主語・目的語の関係性の理解も変わるし、原文における作品に関する記述と作品画像(あるいは作品そのもの)の照合に必要となります。また、画像がない場合は、別の資料(展覧会のチェックリストや展覧会のレビュー記事など)と照合することになります。

マークルは、歴史的なテキストを例として使いながら、アート・ライティング固有の文脈間関係と参照性を考慮することで、原文に対する理解を深め、翻訳が読者に受け入れられやすくなることを解説します。そのため、複数の視点や声を迎え入れられる対話的な翻訳プロセスが必要となります。


本ウェビナーは英語で行います。(同時通訳はございません)

アンドリュー・マークル

アンドリュー・マークルの写真

©Koshima Yukiko

東京を拠点とするアートライター、エディター、翻訳者。日英バイリンガルのオンライン・アート・プラットフォーム「ART iT」の副編集長であり、海外のアート・ジャーナル『Artforum』『frieze』などに寄稿している。2006年から08年までニューヨークの雑誌『ArtAsiaPacific』の副編集長を務め、年鑑AAP Almanacの創刊に携わった。マークルが中国語や日本語から英語へ翻訳したテキストは、数多くの書籍や展覧会カタログに掲載されている。書籍翻訳として、中国語から翻訳したフー・ファンの『Towards a Non-Intentional Space, vol. 1』(Koenig Books, 2016)や日本語から翻訳した田中功起の『How to Live Together: Production Notes』(Skulptur Projekte Münster, 2017)、主な出版物に、『Kishio Suga: Writings, vol. 1, 1969‒1979』(Skira, 2021)などがある。2019年、文化庁アートプラットフォーム事業の創設委員、20年から21年にかけて翻訳プロジェクトのエディトリアル・ディレクターを務めた。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科非常勤講師。