グローバル化する美術界と「日本」:現代アート振興の地平線

2021年10月23日

シンポジウム

2021年10月23日(土)14:00–16:00(配信開始13:45)、オンラインライブ配信(日本語:日英同時通訳あり)。文化庁アートプラットフォーム事業の取組や取組を通じた成果(物)の紹介を通して、日本の現代アートの認知を高めるとともに、世界の美術界に向けて日本の現代アートの発信を強化し、理解を深めるための今後の振興策のあり方について、参加者・視聴者とともに考える機会といたします。

文化庁アートプラットフォームシンポジウム

レポート記事
※外部サイトへリンクします

開催趣旨

日本の現代アートがグローバルに適切な評価を受けるよう基盤整備を推進する「文化庁アートプラットフォーム事業(事務局:国立新美術館)」は、日本の現代アートの今後の飛躍に向けて、「グローバル化する美術界と「日本」:現代アート振興の地平線」と題するシンポジウムを10月23日(土)14:00–16:00にオンラインライブ配信にて開催し、振興策の現状と今後の見通しを展望いたします。
文化庁は、日本の現代アートがグローバルに適切な評価を得るためには、官民が一体となって効果的・国際的な情報発信を実現するとともに、国内外の関係者の強固なネットワークを構築することが第一歩と考え、平成30(2018)年度より、「文化庁アートプラットフォーム事業」に取り組んできました。
具体的には、①日本の現代アートに関する国際的な研究を喚起するような文献を英訳し、世界の関係者が身近なものとして知ることができるようにすること、②関心を持った世界の関係者が、日本国内の美術館の収蔵品情報を横断的に検索できるデータベースの開発、③日本人・外国人を問わず、日本の現代アートの研究者やキュレーターのネットワーク化につながる機会の提供等を進め、一定の成果を収めてきました。
本シンポジウムは、主として国内外の美術関係者を念頭に、上記①~③を中心とする取組や取組を通じた成果(物)を紹介することで、関係者の間で日本の現代アートについての認知を高めて頂くとともに、より深い研究や、世界への発信が容易になっていることを知って頂くことを目指しています。
また、物理的な往来が困難となった新型コロナウイルス禍を経て、急激なオンライン化・デジタル化の進展など、新たなグローバル化の時代を迎えつつある世界の美術界に向けて、日本の現代アートの発信を強化し、理解を高めるための今後の振興策のあり方について、参加者・視聴者とともに考える機会としたいと思います。
「文化庁アートプラットフォーム事業」では、現代アート関係者の意見を幅広く集約し、日本人及び日本で活動する作家とその作品が国際的な評価を高めていくための取組等を推進することを通して、国内外の研究者、キュレーター、アーティスト、学生、美術関係者や愛好家の皆さまに、調査研究の一助としてご活用いただくプラットフォームとしての役割を果たします。今後、国内外の一般の方々にも日本の現代アートの魅力や質の高さを広く発信する機会を持つ予定ですが、まずは美術関係者を中心に理解を深めて頂くことが、第一歩になるものと考えています。

プログラム概要

日 時: 2021年10月23日(土)14:00–16:00(配信開始13:45)

参加方法: オンラインライブ配信(日本語:日英同時通訳あり)

プログラム内容(敬称略・発表順)

14:00–14:05

開会、ご挨拶
逢坂恵理子(独立行政法人国立美術館理事長、国立新美術館長)

14:05–14:20

基調講演
「現代アート振興の地平線 ─アート新世紀を創造する─」

平山直子(文化庁企画調整課長)

14:20–14:30

セッション1
「アートプラットフォーム ─日本の現代アートと世界をつなぐ─」

片岡真実(森美術館館長、日本現代アート委員会座長)

14:30–14:50

セッション2
ゲストプレゼンテーション「世界に響く国際展 ─アーティストの国際的な活動の場を支援する─」

毛利悠子(アーティスト、サンパウロ・ビエンナーレ 2021招へい作家)
山城知佳子(アーティスト、ソウル・メディアシティビエンナーレ2021招へい作家)

14:50–16:00

セッション3
パネルディスカッション、質疑応答

モデレーター:片岡真実(森美術館館長、日本現代アート委員会座長)
登壇者:
植松由佳(国立国際美術館学芸課長、日本現代アート委員会副座長)
加治屋健司(東京大学大学院総合文化研究科教授)
成相肇(東京国立近代美術館美術課主任研究員)
川口雅子(国立西洋美術館情報資料室長)
大舘奈津子(芸術公社/一色事務所)
毛利悠子(アーティスト、サンパウロ・ビエンナーレ 2021招へい作家)
山城知佳子(アーティスト、ソウル・メディアシティビエンナーレ2021招へい作家)

視聴方法

  • 動画の録画、録音、キャプチャー等はご遠慮ください。
  • ライブ配信のため、通信状況により、映像や音声が乱れる場合がございますのでご了承ください。



登壇者

平山直子文化庁企画調整課長

平山直子の写真

文部科学省入省後、文化庁著作権課国際著作権室、国際連合教育文化機関(UNESCO)、文化庁美術学芸課美術館・博物館室補佐、内閣府知的財産戦略推進事務局参事官補佐、(財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツ局次長、文化庁文化財第一課長、文化庁文化経済・国際課長等を歴任。

片岡真実森美術館館長、日本現代アート委員会座長

片岡真実の写真

©伊藤彰紀

ニッセイ基礎研究所都市開発部研究員、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年より森美術館。2020 年より館長。2007~2009 年はヘイワード・ギャラリー(ロンドン)にて、インターナショナル・キュレーターを兼務。第9 回光州ビエンナーレ(2012 年)共同芸術監督、第21 回シドニー・ビエンナーレ芸術監督(2018 年)、国際芸術祭あいち2022 芸術監督。CIMAM(国際美術館会議)会長、京都芸術大学大学院客員教授、東京藝術大学客員教授。文化庁アートプラットフォーム事業・日本現代アート委員会座長。AICA(美術評論家連盟)会員。その他、日本およびアジアの現代アートを中心に執筆・講演・審査等多数。

毛利悠子美術家、サンパウロ・ビエンナーレ2021招へい作家

毛利悠子の写真

©新津保建秀

コンポジション(構築)へのアプローチではなく、環境などの諸条件によって変化してゆく「事象」にフォーカスするインスタレーションやスカルプチャーを制作。主な個展に、「SP.」(Ginza Sony Park、2020年)、「Voluta」(カムデン・アーツ・センター/ロンドン、2018年)、「ただし抵抗はあるものとする」(十和田市現代美術館、2018年)ほか、数々の国際展およびグループ展に参加。2015年ACCグランティとして渡米。日産アートアワードグランプリ(2015年)、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞(2017年)を受賞。2018年には文化庁文化交流使として中国に滞在。

山城知佳子映像作家、美術家/ソウル・メディアシティビエンナーレ2021招へい作家

山城知佳子の写真

©Takano Ryudai

映像や写真を使い、時には自身も被写体となりながら出身地・沖縄を主題に作品を制作してきた。主な展覧会に「山城知佳子 リフレーミング(東京都写真美術館、2021年)、「Chinbin Western」(Dundee Contemporary Arts/イギリス、2021年)、グループ展「11th Seoul Mediacity Biennale」(Seoul Museum of Art/韓国、2021年)「話しているのは誰?現代美術に潜む文学」(国立新美術館、2019年)、など。主な書籍に『循環する世界 ─山城知佳子の芸術─』(2016年) 『Chikako Yamashiro』(2012年)など。主な受賞歴:Tokyo Contemporary Art Award(2020–2022年)、第64回オーバーハウゼン国際短編映画祭 ゾンタ賞(2018年)、Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA 大賞(2017年)など。主なコレクション:東京国立近代美術館、東京都写真美術館、沖縄県立博物館・美術館、クイーンズランド・アート・ギャラリー、KADIST他。

植松由佳国立国際美術館学芸課長、日本現代アート委員会副座長

植松由佳の写真

1993年より丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/財団法人ミモカ美術振興財団勤務を経て現職。現代美術を中⼼に国内外で展覧会を企画。近年の主なものに「ヤン・ヴォー —ォヴ・ンヤ」(2020)「国立国際美術館開館40周年記念: トラベラー まだ見ぬ地を踏むために」(2018年、共同企画)「森村泰昌:自画像の美術史 「私」と「わたし」が出会うとき」(2016年)「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」(2015年)「夢か現か幻か」(2013年)「アンリ・サラ」(2011年)(いずれも国⽴国際美術館)など。第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ⽇本館コミッショナー(2011年、作家:束芋)、第13回バングラデシュ・ビエンナーレ⽇本参加コミッショナー(2008年)を務めた。第11回西洋美術振興財団賞・学術賞受賞(2016年)。

加治屋健司東京大学大学院総合文化研究科教授、日本現代アート委員会委員

加治屋健司の写真

©石原友明

美術史家。第二次世界大戦後の日米の美術と美術批評を中心に研究。広島市立大学芸術学部准教授、京都市立芸術大学芸術資源研究センター准教授を経て、2016年東京大学大学院総合文化研究科准教授、2019年より現職。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ代表、東京大学芸術創造連携研究機構副機構長。著書に『アンフォルム化するモダニズム カラーフィールド絵画と20 世紀アメリカ文化』(東京大学出版会、近刊)、編著に『宇佐美圭司 よみがえる画家』(東京大学出版会、2021年)、共編著にFrom Postwar to Postmodern, Art in Japan 1945−1989: Primary Documents (New York: Museum of Modern Art, 2012)など。

成相肇東京国立近代美術館美術課主任研究員、日本現代アート委員会委員

成相肇の写真

2005年より府中市美術館学芸員、2012年から東京ステーションギャラリー学芸員、2021年より現職。戦後日本のアヴァンギャルド芸術を中心に調査研究を行い、マンガ、大衆誌、広告ほか雑種的な複製文化と美術を交流させる領域横断的な展覧会を企画。主な企画展に「石子順造的世界─美術発・マンガ経由・キッチュ行」(府中市美術館、2011–12年、第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい」(東京ステーションギャラリー、2014年)、「パロディ、二重の声─日本の1970年代前後左右」(同、2017年)など。

川口雅子国立西洋美術館学芸課情報資料室長、日本現代アート委員会委員

川口雅子の写真

財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館を経て2003年より国立西洋美術館。収蔵作品・図書の情報管理公開を担当。共編著に『松方コレクション 西洋美術全作品』全2巻(国立西洋美術館、2018–2019年)、論文に「重役私財提供と松方コレクション売立」(『松方コレクション展』、2019年)、「カタログ・レゾネ編纂と美術作品のドキュメンテーション」(『アート・ドキュメンテーション研究』、2020年)など。一般社団法人全国美術館会議情報・資料研究部会幹事、内閣府「魅力ある新国立公文書館の展示・運営の在り方に関する検討会」委員。第15回西洋美術振興財団賞・学術賞受賞(2020年)。

大舘奈津子芸術公社/一色事務所、日本現代アート委員会委員

大舘奈津子の写真

©Yamamoto Naoaki

一色事務所にて、荒木経惟、森村泰昌、笠原恵実子、やなぎみわ、藤井光のマネジメントに携わる。2010年よりウェブマガジン「ART iT」の編集を兼任。「ヨコハマトリエンナーレ2014」ではキュレイトリアル・アソシエイツを務めた。これまで担当したプロジェクトとして「やなぎみわ:Windswept Women-The old Girls' Troupe」(ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館、2008年)、「Yasumasa Morimura: Theater of Self」(ウォーホール美術館/ピッツバーグ、2013年)「荒木経惟 往生写集」(豊田市美術館、新潟市美術館、資生堂ギャラリー他、2014年)など。芸術公社では、Scene/Asiaおよび、レクチャー・パフォーマンスのキュレーションを担当。