- Artist
川瀬巴水/画
- Title
- 東京二十景 芝増上寺Twenty Views of Tokyo : Zojoji Temple in Shiba
- Dims/Durs
- 38.8 x 26.5
- Collection
- 江戸東京博物館The Edo-Tokyo Museum
- Accession number
- 90203125
- Notes
- ちょっとした吹雪の中、1人の女性が傘をすぼめて歩いている。場所は東京の芝。江戸の頃より、同所に建つ増上寺の三門の前だ。川瀬巴水は、大正から昭和にかけて活躍した画家で、風景版画の名手として知られている。この作品は、関東大震災後の東京風景を描いた20枚シリーズのうちの1枚である。震災後の東京が復興計画のもと、まさに近代都市を目指しつつあった頃の作品だ。 しかし風雪の中を歩く女性の姿というのは、江戸時代に好んで描かれた美人画のひとつ、いわゆる「雪中美人図」の伝統をくむもの。また白い雪と赤い門という、鮮やかな色彩の対比や、画面手前にはみ出すように大きく樹木を描く画面構成は、江戸時代に名所絵で筆をふるった、歌川広重の作品を思い起こさせる。 さらに巴水の木版画作品は、江戸時代の浮世絵と同じ方法によって制作されている。つまり巴水という「絵師」が下絵を描き、「彫師」という専門家が下絵を版木に彫り、同じく「摺師」という専門家が、その版木を摺って、作品を完成させたということだ。 巴水の版画には、もちろん近代都市東京を象徴するような作品もある。だがこの作品のように、技術面はもとより、江戸時代からの伝統や情緒を感じさせる風景画も残されている。
- Data extracted from ToMuCo Tokyo Museum Collection by Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture (Tōkyōto Rekishi Bunka Zaidan). Extracted January 21, 2022.
- 2024-12-10